
お風呂場の換気扇から突然「ゴーゴー」「カタカタ」といった異音が聞こえ始めると、驚いてしまうかもしれません。
「修理費用はどちらが負担するのだろう」「勝手に業者を呼んでも良いのだろうか」と、対応に悩む方も多いと思われます。
この記事では、賃貸物件における浴室換気扇の異音トラブルについて、どのようなケースで誰が費用を負担するのかという基本的な考え方を解説します。
また、自分でできる掃除での改善方法と、故障が疑われる症状の見分け方についても整理しています。
最初にどのような行動をとるべきか、そして管理会社へどのように状況を伝えればよいのかがわかります。
落ち着いて適切な手順を踏むための参考にしてください。
【結論】賃貸の浴室換気扇の異音、修理費用は誰が負担する?

賃貸物件の浴室換気扇に不具合が生じた場合、その原因によって費用負担の所在が変わります。
基本的には「経年劣化・寿命」か「入居者の故意・過失」かという点が判断の基準となります。
経年劣化や寿命による故障は原則オーナー負担
浴室換気扇は、カビの防止や湿気対策、建物の保全に関わる重要な「基本設備」と位置づけられています。
賃貸借契約において、貸主(オーナー)には入居者が快適に生活できるよう設備を維持・修繕する義務があるとされています。
そのため、通常の使用範囲内で換気扇が寿命を迎えたり、経年劣化によって自然に故障したりした場合、修理や交換の費用はオーナーが負担するのが原則です。
一般的な浴室換気扇の耐用年数(寿命)は約10年程度とされており、長期間使用されている設備であれば経年劣化と判断される可能性が高いと考えられます。
掃除不足など入居者の過失が原因なら入居者負担の可能性も
一方で、入居者の扱い方に問題があった場合は、修理費用が入居者の負担となる可能性があります。
例えば、入居してから一度も掃除を行わず、ホコリや汚れが蓄積してモーターが焼き切れてしまったケースなどがこれに該当します。
入居者には、借りている部屋や設備を適切に管理する「善管注意義務」というものがあります。
日常的なお手入れを著しく怠った結果の故障や、無理な分解をして部品を破損させてしまった場合は、故意・過失とみなされることが多いとされています。
最初にやること:掃除で直るか、故障かの見分け方

換気扇から異音がし始めた場合、すぐに故障と決めつけるのではなく、まずは「汚れ」が原因ではないかを確認することが大切です。
専門業者の解説によると、換気扇の騒音トラブルの多くは汚れの蓄積が原因であると言われています。
掃除で直る可能性が高い異音の特徴
換気扇にホコリが付着したり、湿気を含んだ汚れが溜まったりすると、ファンの回転バランスが崩れて音が出やすくなります。
以下のような音や症状の場合は、掃除をすることで改善する可能性が高いと考えられます。
- 「ゴーゴー」「ブォー」といった低い風切り音や唸るような音がする
- カバーの表面やフィルターに、目に見えてホコリが詰まっている
- 長期間、換気扇の掃除を行っていない
このようなケースでは、フィルターを外してホコリを取り除き、手の届く範囲の汚れを拭き取ることで、音が静かになることが多くあります。
掃除後に異音が収まれば、故障ではなく汚れが原因だったと判断できます。
故障が疑われる異音・症状の特徴
一方で、内部のモーターや部品そのものに異常が生じている場合は、掃除をしても音は改善しません。
次のような音や症状が確認できる場合は、故障の前兆、あるいはすでに故障している可能性が疑われます。
- 「キュルキュル」「キーキー」という高い音がする(モーター軸の潤滑油不足や摩耗の可能性)
- 「カラカラ」「カタカタ」という乾いた音がする(軸のずれや部品の破損の可能性)
- 掃除をして汚れを取り除いても、異音が全く変わらない、または悪化する
- スイッチを入れても湯気や空気を吸い込まず、換気機能が働いていない
さらに、「焦げ臭いにおいがする」「異常に熱を持っている」「ガリガリと金属が激しく擦れる音がする」といった場合は、安全上の問題に発展する恐れがあります。
このような深刻な症状が出た場合は、ただちに使用を中止し、管理会社へ連絡することが推奨されます。
自分でやってよい範囲と避けたい行動

異音の原因を確かめるために、入居者自身で対策を行う際の注意点を整理します。
適切な範囲でのメンテナンスは必要ですが、行き過ぎた行動はトラブルの原因になるため注意が必要です。
自分でやってよい範囲
入居者が日常のお手入れとして行うべき範囲は、表面的な掃除とフィルターの清掃です。
安全のため、掃除を始める前には必ず換気扇のスイッチを切り、可能であればブレーカーも落としておくと安心です。
- 換気扇カバーの表面についたホコリを掃除機で吸い取る
- 取り外し可能なフィルターを取り外し、水洗いや中性洗剤で優しく洗う(完全に乾かしてから戻す)
- カバーの内側や、手が届く範囲のファンの汚れを固く絞った布で拭き取る
これらのお手入れを行い、異音が改善するかどうかを確認することが最初のステップとなります。
避けたい行動
賃貸物件の設備に対して、自己判断で以下のような行動をとることは避けた方が安全です。
良かれと思って行ったことが、かえって事態を複雑にしてしまう可能性があります。
- 取扱説明書に記載されていない範囲まで、換気扇内部のモーターや配線を分解する
- 市販の潤滑油やスプレーをモーター付近に直接吹きかける(火災やショートの原因になる恐れがあります)
- 管理会社に連絡せず、自分で勝手に修理業者を手配して部品を交換する
特に、自己判断で業者を手配した場合、後から「オーナー指定の業者以外が行った修理費用は負担できない」と断られてしまうケースが存在します。
設備に不具合を感じたら、自分で直そうとせずに管理会社へ状況を伝えることが基本となります。
管理会社へ相談・連絡する際の流れと文例
掃除をしても異音が直らない場合や、明らかに故障と思われる症状がある場合は、管理会社(またはオーナー)へ連絡を入れます。
スムーズに対応してもらうためには、状況を正確に伝えることが大切です。
管理会社へ伝えるべき内容と後日のために残す記録
連絡をする際は、いつから、どのような症状が起きているのかを具体的に伝えます。
また、自分でできる範囲の掃除はすでに行ったという事実を伝えると、話がスムーズに進みやすくなります。
後日の確認や、業者への状況説明に備えて、以下の記録を残しておくことをおすすめします。
- 異音が鳴っている状態をスマートフォンの動画で撮影しておく(音質や音の大きさが伝わりやすくなります)
- いつから異音が始まったか、メモを残しておく
- 管理会社へ連絡した日時と、担当者の名前を控えておく
管理会社への相談文例(メール・問い合わせフォーム用)
管理会社のウェブサイトにある問い合わせフォームや、メールで連絡する際の文例をご紹介します。
状況に合わせて内容を調整してご使用ください。
件名:【ご相談】浴室換気扇の異音について(〇〇マンション〇号室)
〇〇管理会社 ご担当者様
いつもお世話になっております。
〇〇マンション〇号室に入居している(ご自身の名前)と申します。
数日前から、浴室の換気扇を使用する際に「カタカタ(※実際の音に書き換えてください)」という大きな異音がするようになりました。
取扱説明書に沿ってフィルターやカバーの掃除を行いましたが、症状が改善されない状態です。
換気の吸い込みも弱くなっているように感じられ、設備の故障の可能性があるのではないかと思われます。
お手数をおかけしますが、状況の確認と、今後の対応(修理や業者の手配など)についてご指示いただけますでしょうか。
異音が鳴っている状態の動画も撮影しておりますので、必要であればお送りいたします。
ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
返信がない時の再連絡文例
数日待っても管理会社から返信がない場合は、担当者が見落としている可能性があります。
感情的にならず、確認を促すトーンで再度連絡を入れてみましょう。
件名:【再送・ご確認】浴室換気扇の異音について(〇〇マンション〇号室)
〇〇管理会社 ご担当者様
お世話になっております。
〇〇マンション〇号室の(ご自身の名前)です。
〇月〇日にメール(またはフォーム)にて、浴室換気扇の異音についてご相談のご連絡をいたしましたが、届いておりますでしょうか。
現在も異音が続いており、使用を控えている状態です。
お忙しいところ恐縮ですが、一度状況をご確認いただき、今後のご対応についてご連絡いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
賃貸の浴室換気扇トラブルに関するまとめ
賃貸の浴室換気扇から異音がした際の基本的な考え方と対応手順は、以下の通りです。
- 経年劣化や寿命による故障であれば、修理費用は原則としてオーナーが負担するとされています。
- ただし、全く掃除をしないなど入居者の管理不足が原因と判断された場合は、費用負担が発生する可能性があります。
- まずは安全に配慮しながらフィルターやカバーの掃除を行い、音が改善するか確認します。
- 掃除しても直らない、または焦げ臭いなどの異常がある場合は、使用を中止します。
- 勝手に業者を手配したり分解したりせず、速やかに管理会社へ状況を伝え、指示を仰ぐのが適切な手順です。
設備トラブルは放置すると悪化してしまうこともあるため、早めの確認と相談が大切です。
この記事の注意点
この記事で紹介した費用負担の原則は、一般的な賃貸借契約および民法に基づく基本的な考え方です。
実際の負担割合や対応方法は、お住まいの物件の契約書(特約事項など)や、不具合の具体的な原因によって個別に判断されます。
疑問点や納得しにくい費用請求があった場合は、契約書をよく確認し、まずは管理会社へ詳細な理由を尋ねて話し合うことが重要です。
当事者間での解決が難しい場合は、消費生活センターなどの公的な相談窓口を活用することも検討してください。
参考情報
賃貸住宅の設備トラブルや退去時の費用負担の考え方について、公的機関が提供しているガイドラインや相談窓口の情報です。
詳しい基準やルールを確認する際の参考にしてください。
- 国土交通省:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(設備等の耐用年数や修繕費用の考え方について)
- 国民生活センター(各自治体の消費生活センター):賃貸住宅の修繕や契約に関するトラブル相談窓口
- 法務省:民法(債権関係)改正に関する情報(第606条 賃貸人の修繕義務など)